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お茶懐石(茶事)の世界

  • 季節もの
  • 私のお気に入り

2008/11/18

大澤 雅子

フードアナリスト
大澤 雅子

※画像は拡大することができます

コラム画像1 お茶懐石(茶事)を習い始めて5年経ちます。
お茶事は、茶の湯で最も正式にお客様を招きもてなす方法で、茶の湯の究極の目的といえます。
茶道教室はたくさんありますが、お茶事まで教えて頂けるお教室はあまり無いので、厳しいけれど一流の先生にお出会いできたことを、私はとても感謝しています。
ですが、”お茶事百遍”といわれるほど奥の深いこの世界、
「50年やってようやく見えるか見えないかのおぼろ月で、何かが見えることを期待して修練に励むと良い」…とは先人の教え。
まだまだ先は長そうです☆

さてお茶の世界では、11月は特別の月にあたります。
というのは、お茶は5月にとれた新茶を茶壺に詰めて密封し、
熟成させて11月に開けるから。
よって、11月は茶人にとってはお正月とも言われ、大変おめでたい月なのです。(このことから、茶人はお正月を2度迎えると言われます)。
さらに茶の湯のお点前は、季節によって変わるのですが、
11月からは、炉を開いて「炉のお点前」に。 そして、
今月のお茶事のテーマは、もちろん「炉開きの懐石」です。

コラム画像2 お茶事のお稽古の日は、早朝に先生宅の水屋の台所に集合し、まず出汁を取るところからスタートします。そして、向付・汁・煮物・焼物・鉢物・小吸・八寸・主菓子・干菓子までの全ての懐石料理を、先生の監督のもと、自分たちで作ります(体力勝負です!)。 全ての準備が整うと、ちょうどお昼頃に。
そこから、正客・亭主・水屋(招かれる側・招く側)に分かれて、お茶席に入ります。ここのお教室では、省略せずに全てを正式に行うので、客は庭の外腰掛に出て、つくばいで手を清め、
”にじり口”から順に席入りします。
まず床、炉、道具を順に拝見してから着席。正客と亭主の挨拶が終わると、茶壷を開いて拝見し、お炭点前の後、お膳が運ばれてきて、懐石がスタートします。

<開炉の懐石>
汁)  合わせ味噌汁
向付) 鯛細造り
煮物) 光琳菊饅頭
焼物) 鰆の味噌幽庵焼き
鉢物) 「海老芋、生湯葉、車海老」」「ほうれん草としめじの煮びたし」
八寸) 「かますの一夜干し火取り」「ブロッコリー味噌漬け」
主菓子)「初霜」
干菓子) 紅葉のふきよせ(落雁・雲平)
懐石料理の写真はコチラ

今月のお床(写真1)には、茶壷が置かれています。お掛物には、「柚子黄ばむとき 口切らん茶壷かな」と書かれています。茶壷の口を切るお席にぴったりのお軸です。
お膳(写真2)に小さな丸いお皿がありますが、これは「つぼつぼ」といって、おめでたい席の時に置かれるもので、
紅白膾が入っています。今月は茶人にとって、とても晴れがましいお席なのです。
主菓子(写真3)の銘は、「初霜」です。練り切り生地で“藁”を作り、氷餅をほぐして“霜”に見立てています。
田んぼの藁に霜が降りているように見えますか?

コラム画像3 “懐石”と聞くと、ご馳走だと思われる人もいますが、懐石の本来の意味は、「お茶を美味しく頂いてもらう為に小腹を満たす、ささやかなお料理」のことです。
ですからお茶事のメインは、懐石ではなく、お濃茶。
一服のお茶を美味しく頂いてもらうが為に、これだけの手間・気遣い・おもてなしを施すことに、お茶の世界に深い深いホスピタリティーを感じます。
最初の席入りから退室するまで、お茶事は約3〜4時間もかかります。早朝からの調理も入れると、大変な一日仕事なのですが、やはり素晴らしい月々の懐石、お茶事の空間を感じたくて、毎月欠かさず通っています。
お茶事の全ての流れについてはコチラをご参照ください)

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