現在位置: 厳選レストラントップ > 連載特集 > 【第9回】 「ハル ヤマシタ」、世界を見据えたレストラン
ハル ヤマシタという稀有な存在との出合い
山下春幸。「ハル ヤマシタ」エグゼクティブシェフ。日本の食材だけでなく「日本の心」を込めた料理を表現。
山下 ははは。ありがとうございます。うちには雑誌のライターさんやブロガーと呼ばれる方も多くいらっしゃいますが、皆さん、これはフレンチですか、日本料理ですかと戸惑われる。「うちはおいしいものを出す料理屋ですよ」と応えることにしているんですが。
藤原 たとえばウニ×牛肉×キャビアなど、一見、破綻に思える組み合わせが、ハルさんの料理では必然的なものとして納得してしまう。料理の「遊び」は、ものすごく突き詰めていくと「本物」になるじゃないですか。そうした完成度の高さだけでなく、哲学、人生観までが皿に表現されていました。非常に感銘を受けましたね。
山下 僕は常々、レストランは洋服屋と同じだと思っています。人それぞれの好みがあるだけで、カテゴリーに当てはめたり、ランクづけをするものではない。藤原さんはそうした表層的なことではなく、僕がどんな意図や想いで料理をしているかを汲み取り、自分の発言がどれだけ社会に影響を及ぼすのかを考えて言葉を紡いでいる方だと思います。それは自身のためでなく、食文化の発展という広い視野をもっているからでしょうね。
世界に出る目標を抱き続けた米国修業
藤原浩。フードアナリスト スーパーバイザー。様々なメディアを通じて食の情報発信を行っている。
山下 うちは食材の皮まできっちり使います。昔はみんな食材をありがたいなと思って、残らずいただいていたと思うんです。食に関わる人はこのことを絶対に忘れちゃいけない。
藤原 エコだから、ではなくて「命をいただく」という感謝の気持ち。食べ手の心を動かすことに関しても、ハルさんは一流です。ミシュランなどの評価を超えた存在だし、10年後も進化していけると確信します。ところで、神戸からどんな経緯で東京に進出されたんですか。
山下 僕は神戸の郊外で生まれ、和食店を経営していた父のもとで料理を学びました。20代後半からは海外に行って料理を作っていましたね。いつか外国で、日本料理がどれだけ通用するものか試したい。その想いを抱えながら、NY、オーストラリア、香港など様々な国を回っていました。でもそういったことをプロフールには書きません。それでお客さんに来てほしいわけではないので。
藤原 ご実家が料理屋さんなら、小さい頃からいいものを食べて育ったんですね。
山下 高価なものは何も。でも「いいもの」は食べていましたね。たとえば、できたての豆乳ににがりをうっておぼろ豆腐にしたものとか、とれたての野菜とか、そういうものが周りにいくらでもありましたから。









